エキスパンダーロールとは?
~あらゆるシートの「シワ」を解決する基本原理~
フィルム、紙、不織布、金属箔といったシート状の製品を生産・加工する工程で、避けては通れない問題が「シワ」の発生です。このシワは、品質の低下や生産ロスに直結する深刻な課題となります。
「エキスパンダーロール」は、こうしたシート状製品のシワを、走行させながら均一に伸ばし、除去するために開発された非常に重要な装置です。
シワが伸びる仕組み:回転する”弓”の力
なぜ、湾曲したロールが回転するだけで、厄介なシワを伸ばすことができるのでしょうか。その秘密は、ロールの形状とゴムの特性にあります。
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湾曲した形状 エキスパンダーロールは、弓のように緩やかに湾曲しています。
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回転による拡幅作用 この湾曲したロールが回転すると、表面のゴムは、ロールの中心から両端(外側)に向かって広がろうとする動きをします。
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摩擦による力の伝達 ロールに接触しているシートは、摩擦によってこの「外側に広がる力」を受け取ります。
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シワの除去 その結果、シートは中央から両端に向かって均等に引っ張られ、幅がわずかに広がります(拡幅)。
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この作用により、シートの進行方向に対して垂直に発生するシワが、根本からきれいに除去されるのです。
この引っ張る力は、ロールの中央部分ではほぼゼロで、両端にいくほど強くなるという特性があります。
これにより、シートに無理な力をかけることなく、理想的かつ合理的にシワを伸ばすことが可能です。
図1:エキスパンダーロールの拡幅原理

効果を最大限に引き出す「接触角(巻き角)」
エキスパンダーロールの効果を最大限に発揮させるためには、「接触角(巻き角)」が非常に重要です。接触角(巻き角)とは、シートがロールに巻き付いている角度のことを指します。
この角度が小さすぎると十分な拡幅効果が得られず、大きすぎるとシートに過度なストレスがかかる可能性があります。
素材の特性に合わせて、最適な接触角で設置することが、高品質なシワ取りの鍵となります。
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紙、プラスチックフィルム、薄手の布など: 接触角(巻き角)は 15°~30°が適しています。
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厚手の織物など、テンションがかかる素材: 接触角(巻き角)は 60°~80°が適しています。
図2:素材に応じた適切な接触角(巻き角)の例
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一般的なエキスパンダーロールと「OSエキスパンダーロール」の違い
ここまでご説明したのは、エキスパンダーロールの基本的な原理です。しかし、実際の生産現場では、より高速なライン速度、特殊な薬品への耐性、あるいは非常にデリケートな素材への対応など、さらに高度な要求が求められます。
私たち大阪染織機械株式会社の「OSエキスパンダーロール」は、この基本原理を長年の経験と独自技術によって昇華させ、お客様一人ひとりの課題を解決するソリューションとして進化させた製品です。
OSエキスパンダーロールはここが違う!
一般的なエキスパンダーロールが持つ基本性能に加え、OSエキスパンダーロールには以下のような際立った特長があります。
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